デジタルトルクドライバーの使い方?プレセット型との違いも詳しく解説!
トルクドライバーとは、設定したトルクでねじを締める工具です。
ねじを締める際には、緩すぎると外れる可能性があり、逆に締めすぎると折れたり、固着したりといったトラブルが起こる可能性があります。このため、トルクドライバーは、「設定したトルクでねじを締める作業工具」と「締められたねじのトルクを測定する測定工具」として、広く使用されています。特に、精密な電子部品の組み立てや自動車の整備など、工場での作業においてよく使用されます。
この記事では、デジタルトルクドライバーの特長・使い方とプレセット型との違いについてご紹介しています。
デジタル式とプレセット型の違い
トルクドライバーには様々な種類があります。その中でよく使われるのは、「プレセット型(空転式)トルクドライバー」と「デジタルトルクドライバー」です。どちらもそれぞれメリットとデメリットがあります。ここからは「確認と記録」、「連続作業」、「精度」、「トルク範囲」、「特長」の5つのポイントから解説していきます。
作業中のトルクを確認したり、記録する必要がある場合は、デジタル式はお勧めします。
プレセット型は測定結果を表示されないし、記録も残りません。一方、デジタル式は画面に測定結果を表示し、結果を保存することができるため、締め付けトルク値の検査やオーバートルクの管理に役立ちます。
プレセット型とデジタル式はどちらも目標トルクを設定して連続作業を行うことができます。プレセット型は目標トルクに達すると空転します。締めすぎることは少ないため連続した締め付け作業には最適です。
デジタル式は測定値を表示することができるため、単純な締め付け作業だけでなく、一つずつ測定結果を確認する必要がある作業にも適しています。また、デジタル型は複数の目標トルクを設定できるため、トルク値を切り替える連続作業にも使用できます。
精度はメーカーや型式によって異なりますが、一般にデジタル式はより高い精度があります。また、測定結果を表示するため、より正確なトルク管理ができます。
プレセット型 | デジタル式 |
品番 | N・M | cN・M | 品番 | N・M | cN・M |
H5177 | 0.05-0.6 | 5-60 | H5277 | 0.05-0.50 | 5-50 |
H5178 | 0.1-1.2 | 10-120 | H5278 | 0.1-2 | 10-200 |
H5182 | 1-6 | 100-600 | H5279 | 0.2-4 | 20-400 |
H5184 | 5-10 | 500-1000 |
プレセット型(空転式)は目標トルクに達すると空転するため、締めすぎることはほとんどありません。しかし、空転する際には少し振動が発生するため、衝撃や振動を嫌う精密機器の締付作業などでは注意が必要です。
デジタル式は測定結果を表示し、記録もできます。空転しないため、振動なども発生しませんが、目標トルクに達する時に力を緩めずに締め続けると、つい締めすぎてしまう可能性があります。力加減が苦手な方は、特に注意が必要です。
デジタルトルクドライバーの特長
これでデジタルトルクドライバーとプレセットトルクドライバーの違いについて少し理解が深まったのではないでしょうか。
次に、デジタルトルクドライバーの特長についてもう少し詳しく見ていきましょう。
・ 目で測定値を確認できる
画面で直接測定結果を確認して、より正確なトルク管理ができます。
・ わかりやすい音とLED通知
トルク値の変化は音とLEDで知らせます。画面で見えない角度でも簡単に確認できます。
・ 一つずつトルク値を設定する必要はない
9件目標トルク値が登録でき、違うトルク値を切り替える必要のある作業には便利です。
・ 記録を残しトルク管理をより便利に
データメモリは50件で、メモリー機能によりトルクデーターを管理できます。
デジタルトルクドライバーの使い方
ここからデジタルトルクドライバーの使い方を説明します。
「電源の入れ方・切り方」、「目標トルク値の設定」、「モード設定・メモリーデータ」、「ピークホールドモードの使い方」、「トラックモードの使い方」この五つを説明します。
各ボタンの機能
Cボタン:リセット
U/Sボタン:単位換算
Mボタン:目標トルク値の切替
^ボタン、vボタン:トルク値の調整
Cボタンを押して電源を入れます。5分経ったら自動に電源が切れます。
電源を入れると、前回設定した目標トルク値や測定モードなどが残ります。設定を変更しない場合は、そのまま使用することができます。初めて使用する場合や設定を変更したい場合は、以下の手順に従って設定を調整してください。
1. まずMボタンを押してメモリーナンバー(目標トルクを記録する番号)を選択します。
2. U/Sボタンを押すと、目標トルクを他の単位に換算することができます。
3. ^ボタンとvボタンでトルク値を調整します。調整したトルク値はそのまま保存されます。
U/Sボタンを長押しすると、設定画面を起動します。この設定画面では「モードの切替」・「メモリーデータの確認」・「メモリーデータの削除」という3つの機能が使用できます。U/Sボタンを押すとこで、設定項目間を移動します。
モードの切替
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^ボタンとvボタンで「トラックモード」(T)・「ピークホールドモード」(P)に切り替えます。
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設定が完了したら、U/Sボタンを押して、モード設定を保存します。
メモリーデータの確認
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^ボタンとvボタンで確認したいメモリーデータを選択します。(最大で50件保存できます)
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確認が終わったら、U/Sボタンを押して次の設定項目に進んでください。
メモリーデータの削除
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Cボタンを二回押して、すべてのメモリーデータを削除できます。
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もし削除したくない場合は、U/Sボタンを押して測定画面に戻ります。
「ピークホールドモード」は、測定した最大トルク値を表示し続けるモードです。
以下の手順で使用してください。
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ネジを締めます。
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目標トルクの90%まで締めると、ブザーの断続音と共にLEDが緑色に点滅します。
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目標トルク値に達すると、ブザーが連続音に変わりLEDが赤色に点灯します。この時点で作業を停止します。作業を停止すると、画面には測定最大値が点滅表示されます。
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Mボタンを押すと、測定最大値をメモリーデータに記録します。
記録しない場合は、Cボタンを押して測定値をクリアして次の作業に進みます。
「トラックモード」はリアルタイムに測定トルク値を表示するモードです。
以下の手順で使用してください。
-
ネジを締めます。
-
設定トルクの90%まで締めると、ブザーの断続音と共にLEDが緑色に点滅します。
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設定トルク値に達すると、ブザーが連続音に変わりLEDが赤色に点灯します。この時点で作業を停止します。
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Cボタンを押して測定値をクリアして次の作業に進みます。
測定結果を画面で直接確認できるデジタルトルクドライバーは、締め付け作業や測定作業に便利です。目標トルク値を登録することにより、一つずつトルク値を設定する手間を省くこともできます。また、データの記録や転送、単位換算、さまざまな便利機能も備えています。
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